仮想通貨で儲けたらいくら納税するか、あなたは計算できますか?
結論から言えば大体の方は20~30%程度でおさまります。
仮想通貨が盛り上がっていますね(少なくともTwitter界隈では)。
ビットコイン(BTC)の価格が2017年ぶりに200万円を超え、アルトコインのリップル(XRP)・イーサリアム(ETH)などもどんどん価格が上がっております。
私自身今年の8月から仮想通貨を見る様になり、BTCやアルトコインを購入し、日々チャートをチェックするようになりました。
そんな仮想通貨の爆益に伴い、利益を出した人が目立つようになりました。
一方でこういう声も聞こえるようになってきました。
『ところで税金っていくらかかるの?』
せっかく利益を出してもその内のいくらを税金で取られてしまうのかが分からないと怖いですし落ち着かないですよね。
そんな方々の疑問の解消になればと思い、ざっくりではありますがどうやって計算するかを本記事で解説したいと思います。
★こんな人達のお役に立ちます★
- 仮想通貨で20万円以上の利益を出している方
- 税金がいくらかかるのか分からず不安な方
- 会社員の方
本記事はざっくり計算の方法を伝えるもので正確な額を保証するものではありませんのでご了承下さい。
本当に正確な額を計算されたい方は税務署または国税庁に問い合わせることをおすすめします。
仮想通貨で20万円以上の利益が出たら確定申告が必要
仮想通貨で利益が出た方々、まずはおめでとうございます!
自分にご褒美を買おうと思ってるかも知れませんが、ちょっと待ちましょう。
残念ながらそのお金の一部は税金として納めなきゃなので、ご褒美は税金納めた後にしておきましょう。
なお仮想通貨で得た利益というのは、『雑所得』というものに該当し、原則20万円以上の雑所得を得たら確定申告で納税しなければならなくなります。
(↓国税庁のページのスクリーンショットを参照)
雑所得(仮想通貨の利益)にかかる税金は最大55%(所得税45%+住民税10%)
確定申告後、納めなければならない税金は最大55%です。
内訳は所得税と住民税で合計15~55%
- 所得税:5~45%(年収または仮想通貨の雑所得により変わる)
- 住民税:ざっくり10%
なぜかこの55%にびびりまくている人が多いですが、大体の人はそんなに取られないのでご安心を。
日本は儲かるほど税率の上がる累進課税を採用していますので。
年収にもよりますが、3~4000千万とか儲かったが55%も取られるものであって、数十万~数百万ぐらいならせいぜい30%台です。
税金の支払い方:翌年3月に所得税を支払い、同年6月から1年間住民税を多めに支払う
税金を納めろと言われても
- いつ払うのか?
- どうやって支払うのか?
という方にお伝えしますと、翌年3月に所得税を支払い(銀行振込・コンビニ支払など)、同年6月から1年間住民税を多めに支払う、です。
例えば年収500万円の会社員の方がか仮想通貨で100万円の雑所得を得たらこんな支払いイメージです。
#仮想通貨
年収500万円の会社員が100万円の雑所得を得ればざっくりですがこんな支払イメージ☑来年3月頃に所得税10万円を払う(税率10%)
☑来年6月~再来年5月にかけて住民税が毎月1万円弱高くなる※保険の加入状況や家族構成により変わりますが、基本上記より高くはならない。
— ヒデマネ@節約x米国株x仮想通貨のブロガー (@hidemoney1986) December 6, 2020
- 「所得税」は利益を出した翌年の3月あたりに支払う(銀行振込・コンビニ支払などで)
- 「住民税」は利益を出した翌年6月~翌々年5月にかけて住民税を多目に天引きされる
所得税と住民税のざっくり計算方法
支払う税金の税率と支払いタイミングを書かせていただきましたが、それ以上に気になるのは「私の場合はどうなのか!?」かと思われます。
当然
- 年収
- 仮想通貨で出した雑所得
- 家族構成
- 加入している保険
などによりその計算方法は異なりますので「年収〇円だったら△%だよ」だとか「100万円の利益なら△%だよ」なんて一概に言えるものではありません。
厳密な計算となれば税務署に問い合わせるのが一番ですが、本記事ではざっくりレベルで把握できるよう計算方法を書かせていただきます。
私は先に「仮想通貨をしていない場合」に納税する予定の税額を確認し、その上で「仮想通貨で利益を出したこと」で納税額がどう変化するかという手順を解説しますので、次のような手順で確認することとなります。
- 給与所得を計算する
- 課税される所得を計算する(仮想通貨の利益なし版)
- 所得税と住民税を計算する(仮想通貨の利益なし版)
- 課税される所得を計算する(仮想通貨の利益あり版)
- 所得税と住民税を計算する(仮想通貨の利益あり版)
- 追加納税額を計算する(5と3の差額)
なおサンプルがあると分かりやすくなると思いますので、次の2名をサンプルとして用意してみました。
Aさん |
|
---|---|
Bさん |
|
①:給与所得を計算する
まずはご自身の給与所得を計算しましょう。
年収ではなく、給与所得をです。
年収は分かるが給与所得という言葉にピンと来ない方もいらっしゃると思いますが、給与所得とは年収から経費を差し引いて出た利益だと思ってください。
(経費という言葉にもピンと来ない方もいらっしゃると思いますが、会社員は一定額を経費として認められているとだけ覚えておいて下さい。)
給与所得の金額は次のいずれかの方法で確認できます。
- 源泉徴収で確認する
- 自前で計算して確認する
源泉徴収票は12月か1月に出るものですが、もし今年の年収が昨年と変わらなければ昨年の源泉徴収を見るのが一番手っ取り早いです。
源泉徴収票で確認する場合
画像の赤枠部分を見れば給与所得が書かれています。
自前で計算する場合
自分の年収から給与所得控除(一律に認められる経費と思って下さい)を引くと給与所得が出ます。
給与所得控除額は2020年現在では次の表の通り定められています。
AさんとBさんの場合、次の通りです。
Aさん (年収500万円) |
|
---|---|
Bさん (年収1,000万円) |
|
②:課税される所得を計算する(仮想通貨の利益なし版)
給与所得の計算が終わったら、次はまた「所得控除」という名の別の経費を差し引き、税計算の元となる「課税される所得」を計算します。
(給与所得控除がサラリーマンに認められた経費で、所得控除は全ての国民に認められた経費、と覚えて下さい)
なお、所得控除に該当するのは次のものです。
全てのサラリーマンに該当する所得控除
基礎控除 (最大48万円) |
年収2400万円以下の場合、一律48万円。
2400万円を超える場合については割愛(該当する方はほぼいないと思われるので…いたらごめんなさい) |
---|---|
社会保険料控除 (年収の14%+iDeco支払分) |
下の①と②の合計額
|
人によって適用される所得控除の一例(ざっくり計算したいだけなら無視して良いです)
生命保険控除 (最大12万円) |
生命保険や個人年金に加入している場合、加入額に応じて変わる。
大体加入している額の半分が控除額(最大12万円) |
---|---|
配偶者控除 (13~48万円) |
の両方を満たす場合、年収に応じて額がきまる(最大48万円) |
配偶者特別控除 (最大38万円) |
の両方を満たす場合、年収に応じて額がきまる(最大48万円) |
扶養控除 (38万円~63万円 x 人数) |
扶養している家族がいる場合、一人当たり38万円。
大学生の子供の場合、一人当たり63万円。 |
該当していそうな方が多いものをピックアップしていますが、より詳しく知りたい方は「所得控除」でググると全種類出てきます!
なおAさんとBさんの場合、次の通りです。
Aさん (年収500万円) |
給与所得356万円に対し適用される所得控除は
のため、課税される所得は238万円 |
---|---|
Bさん (年収1,000万円) |
給与所得805万円に対し適用される所得控除は
のため、課税される所得は494万円 |
③:所得税と住民税を計算する(仮想通貨の利益なし版)
課税される所得が計算できたら、所得税と住民税でそれぞれ次の通り計算すれば出てきます。
所得税
先に計算した「課税される所得」を下の表に当てはめて計算すれば所得税が出てきます。
所得税計算の例を2つほど挙げると次のようになります。
- 課税される所得が500万円 ⇒ 500万 x 20% – 42.75万 = 57.25万円
- 課税される所得が200万円 ⇒ 200万 x 10% – 9.75万 = 10.25万円
(日本では所得が大きいほど税率が上がる累進課税制度を採用しているので、年収が大きいほど税金が沢山取られるのです。)
住民税
課税される所得のざっくり10%
(厳密には課税される所得は住民税の場合若干違ってきますが、簡単に覚えるならざっくり10%と計算して下さい)
住民税計算の例を2つほど挙げると次のようになります。
- 課税される所得が500万円 ⇒ 500万 x 10% = 50万円
- 課税される所得が200万円 ⇒ 200万 x 10% = 10.25万円
(住民税は所得税と違い、年収が上がったとしても税率は変わりません)
これで年収に対する所得税と住民税が分かります。
なおAさんとBさんの場合、次の通りです。
Aさん (年収500万円) |
課税される所得は238万円のため、
⇒合計37.85万円 |
---|---|
Bさん (年収1,000万円) |
課税される所得は494万円のため、
⇒合計105.45万円 |
④:課税される所得を計算する(仮想通貨の利益あり版)
年収に対する所得税と住民税は分かりましたので、ここからは仮想通貨で利益を出したことでいくら追加で納税しなければならないのかを確認しましょう。
まず今度は雑所得(仮想通貨で出た利益)を加えた上で「課税される所得」を計算し直しましょう。
仮想通貨で得た雑所得の計算式は次の通りです。
仮想通貨の雑所得 = 売却時の価格 – (取得時の価格+かかった経費)
例えば
- 勉強のために仮想通貨の本を10,000円分購入⇒かかった経費:10,000円
- XRPを25円で10000枚購入⇒取得時の価格:250,000円
- XRPを75円で全て売却⇒売却時の価格:750,000円
ということをした場合、
仮想通貨の雑所得 = 750,000 – (250,000 + 10,000) = 490,000円
となるわけです。
何が経費として認められるのか?と聞かれれば仮想通貨のためにかけた費用となりますが、具体的にこれ!といことまではすみませんが断言できませんので
を参考にするか、一番無難な方法として国税庁や税務署に問い合わせることをおすすめします。
おAさんとBさんの場合、二人とも仮想通貨で100万円の雑所得を得たので課税される所得は次の通りになります。
Aさん (年収500万円) |
⇒課税される所得は合計で338万円 |
---|---|
Bさん (年収1,000万円) |
⇒課税される所得は合計で594万円 |
⑤:所得税と住民税を計算する(仮想通貨の利益あり版)
計算方法は先の③と同じですので詳細な記載は割愛します。
課税される所得が増えた分、税率が増える可能性があることに注意して下さい。
AさんとBさんの場合、次の通りです。
Aさん (年収500万円) |
課税される所得は338万円のため、
⇒合計58.65万円 |
---|---|
Bさん (年収1,000万円) |
課税される所得は594万のため、
⇒合計135.45万円 |
⑥:追加納税額を計算する(⑤と③の差額)
③は仮想通貨の利益なしの場合におさめる所得税と住民税を計算しました。
⑤は仮想通貨の利益ありの場合におさめる所得税と住民税を計算しました。
そのため、仮想通貨の利益が出たことでいくら追加で納税しなければならないのかを計算するには⑤から③を引けば良いのです。
AさんとBさんの場合、次の通りです。
Aさん (年収500万円) |
⇒追加で20.8万円を納税 |
---|---|
Bさん (年収1,000万円) |
⇒追加で30.0万円を納税 |
まとめ
仮想通貨で利益を出せたことは非常に喜ばしいことですが、その利益の一部はちゃんと納税しなければならないことを肝に銘じておきましょう。
計算の手順は
★納税額の計算手順★
- 給与所得を計算する
- 課税される所得を計算する(仮想通貨の利益なし版)
- 所得税と住民税を計算する(仮想通貨の利益なし版)
- 課税される所得を計算する(仮想通貨の利益あり版)
- 所得税と住民税を計算する(仮想通貨の利益あり版)
- 追加納税額を計算する(5と3の差額)
このことを知らずに放置すると残念ながら脱税とみなされ、追加で税金を支払わなければならないことになるので…。
この記事が参考になりましたら幸いです。