新年明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします。
さて昨年は仮想通貨ブームの再来が来た一方でリップル社が起訴される事態が発生するなど色々あり、爆益取れた方・大損した方・トントンな方で別れたことでしょう。
ところで今年は昨年の利益に対して確定申告が必要となりますが、利益が出ていない方でも確定申告が必要になる場合があることをご存知でしょうか?
これを聞いて「え!?」と思われた方は本記事を読むことを強くお勧めします。
★こんな人達のお役に立ちます★
- 課税される条件を知りたい方
- 売却益、売却損に関わらず少しでも課税額を減らしたいと考えている方
- 仮想通貨で売却損を出した、または損益ゼロだけど課税額が気になる方
前提として知っておくべき税金の知識
まずは最低限知って欲しい税金についてお話します。
納税額の計算方法を知っている方を前提としていますが、
もし仮想通貨で売却益を出した場合の税金計算の方法を先に知りたい場合は先に次の記事を読むことを強くお勧めいたします。
それを踏まえ本記事で最低限知っていただきたいことは次の4点です。
- 確定した売却益/売却損と、含み益/含み損の違い
- 納税の義務が発生するケース
- 確定した売却益/売却損は翌年にリセットされる
- 稼ぎが大きければ大きいほど税率が上がる(累進課税)
確定した売却益/売却損と、含み益/含み損の違い
- 確定した売却益/売却損
- 含み益/含み損
の違いを簡単に表でまとめると次の通りです。
口座の残高 |
|
---|---|
納税の義務 |
|
知っている方にはごめんなさい。
ただ少なくとも本記事の中では明確に定義しておきたかったので書かせていただきました。
納税の義務が発生するケース
儲かったら絶対納税!というわけではないです。
仮想通貨で儲かった場合は雑所得という名目で納税の義務が発生する可能性があります。
ここでいう雑所得とは、所得の一種。
所得とは、(仮想通貨の場合)売却益から経費を差し引いた「本当に儲けた額」と思って下さい。
この所得が20万円以上を超えている場合、納税の義務が生じます。
仮に仮想通貨での所得が20万円未満でも、例えば次の条件を満たすことで確定申告をしなければならなくなる場合がありますので、確定申告をしなければならない条件というものはしっかりと確認するようにしましょう。
まとめるとこんな感じ↓
仮想通貨で確定申告をするケース例
- 仮想通貨の所得が20万円以上
- 仮想通貨&他の副業の所得>20万円以上
- (所得20万未満でも)年収2000万円以上
- (所得20万未満でも)税金還付のために確定申告する必要がある(ふるさと納税など)
詳しくは国税庁の公表している「確定申告が必要な方」のページを参照ください↓
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/01/1_06.htm
確定した売却益/売却損は翌年にリセットされる
仮に仮想通貨で確定した売却益/売却損がいくらであろうと、年が明けてしまえばリセットされます。
具体的な例を挙げると、次の通りです。
例 | どういう扱いとなるか |
2020年10月に30万円の売却損を、2020年12月に40万円の売却益を出す | 2020年は10万円の売却益を出した扱いとなる。 |
2020年10月に40万円の売却益を、2020年12月に30万円の売却損を出す | 2020年は10万円の売却益を出した扱いとなる。 |
2020年10月に30万円の売却損を、2021年1月に40万円の売却益を出す | 2020年は30万円の売却損を出した扱いとなる。 |
2020年10月に40万円の売却益を、2021年1月に30万円の売却損を出す | 2020年は40万円の売却益が出たとなる。 |
重要なのはどう扱われているか次第で課税額が変わってくることです。
稼ぎが大きければ大きいほど税率が上がる(これが累進課税)
日本には累進課税のルールがあるため、収入が上がれば上がるほど支払う税金が高くなります。
そう、儲かっている人ほどクソッタレと言いたくなる国なんです。
次の表は参考程度に見ていただきたいのですが、年収と仮想通貨の売却益の合計が少なければ税率は最低5%で済みますが、多くなると再考で45%もの所得税を取られてしまいます。
これとは別途10%程度の住民税を取られるため、いくら稼いだか次第で15%~55%の税金を取られてしまうというわけです。
このため、あまりにも爆益が見込めそうであれば、場合によっては売却益確定のタイミングをずらすというのも手となります。
(もちろん1年後、2年後の値動きを見通すことなど難しいので、うまくやるのは難易度の高い話と思っておいて下さい)
対策により避けられる(または減らせる)課税
前述の税金の知識を踏まえ、本題である『対策により避けられる課税』の具体的なパターンを3つほど紹介させていただきたいと思います。
把握していれば『知っていたおかげで余計な税金を払わずに済んだ』となりますすし、把握していなければ『知っていれば余計な税金払わずに済んだのに…』となります。
3つのパターンとは、次の通りです。
- 確定した売却益があり、同年末時点で含み損がある場合
- 確定した売却損があり、同年末時点で含み益がある場合
- 年末時点で含み益があり、翌年以降は更なる爆益が期待できる場合
それぞれのパターンで対策をした時のメリット・デメリットを解説させていただきます。
パターン1:確定した売却益があり、同年末時点で含み損がある場合
次のようなケースを想定して下さい。
想定ケース
- 2020年10月時点でXRPを@20円で1万枚購入する
- 2020年11月時点でXRPを@80円で全部売り、60万円の売却益を確定させる
- 2020年12月初め時点でXRPを@60円で2万枚購入する
- 2020年12月末時点でXRPが@30円になり、60万円の含み損がある
実際に2020年にXRPを所有していた方には少なからずいそうなケースです。
パターン1の場合、結論は次の通りです。
対策:2020年の内に相殺(@30円で売り、すぐ同じ価格で買い直す)する。
お勧め:2021年以降に暴騰して含み益になると信じるならば相殺しない、価格が戻るの厳しいかも…と思われるならば相殺しておくのが良いと考えます。
解説のため、対策をする場合としない場合でそれぞれどのような違いがあるのかを確認してみましょう。
対策する場合
確定すること | 2021年の課税が不要になる |
---|---|
メリット | 仮にXRPの価格が戻らず売る場合、2020年と2021年通じてプラスマイナスゼロで済む。 |
デメリット | 仮にXRPの価格が暴騰して含み損が含み益になった時、相殺しない場合より課税額が増える。
例)XRPが@100円に暴騰したタイミングで売った場合、2021年は140万円の売却益となる。(相殺してない場合は2020年に60万円の売却益&2021年に80万円の売却益) ⇒累進課税なので、年収次第では相殺していない時よりも税率が高くなる。 |
対策しない場合
確定すること | 2021年は60万円の売却益に対し課税が必要になる |
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メリット | 仮にXRPの価格が暴騰して含み損が含み益になった時、相殺する場合より課税額が減る場合がある。
例)XRPが@100円に暴騰したタイミングで売った場合、2020年に60万円の売却益&2021年に80万円の売却益となる。(相殺した場合は2021年は140万円の売却益) ⇒累進課税なので、年収次第では相殺した時よりも税率が低くなる場合がある(なるとは限らない)。 |
デメリット | 仮にXRPの価格が戻らず含み損のまま売却した場合、2020年と2021年通じて売却益ゼロ(最悪、大損)で終わる上に課税される二重苦を味わう。 |
(なお個人的な意見ですが、XRPの場合は当面価格が戻らない可能性の方が高いので、XRPで上記のような事態になった場合は2020年内に相殺した方が無難と言えるかも知れませんね。)
パターン2:確定した売却損があり、同年末時点で含み益がある場合
次のようなケースを想定して下さい。
想定ケース
- 2017年12月にBTCを@200万円で1枚購入
- 2020年3月時点でBTCが暴騰し、@50万円で全て売却して150万円の売却損を確定させる
- 2020年10月時点でBTCを@140万円で1枚購入
- 2020年12月末時点でBTCが@290万円に暴騰し、150万円の含み益がある
そんなにいないかも知れませんが、2017年に高い値段の状態で購入した方に起こりうるケースです。
パターン2の場合、結論は次の通りです。
対策:2020年の内に相殺(@290万円で売り、すぐ同じ価格で買い直す)する。
お勧め:株の売買と違い年内に相殺しないメリットはないため基本は相殺しておくことを強く推奨します。
解説のため、対策をする場合としない場合でそれぞれどのような違いがあるのかを確認してみましょう。
対策する場合
確定すること | 2021年の課税が不要になる |
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メリット | 2021年にBTCが@290万円以上になり、2021年に売却益が出た場合は相殺しない時より課税額が減る。 |
デメリット | 相殺しない場合と比較したデメリットはない。 |
対策しない場合
確定すること | 2021年の課税が不要になる(売却損で終わるため) |
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メリット | 相殺する場合と比較したメリットはない。 |
デメリット | @290万円以上になろうがなるまいが、@140万円以上の状態で売った場合はほぼほぼ確実に2022年に課税が必要になる。 |
この表から、基本的に対策しないメリットはないため、対策しておくことを強くお勧めいたします。
株の売買の場合、その年の売却損を翌年の売却益と相殺させることが可能になるので無理に相殺する必要はありません。
他にも株の税制度は仮想通貨よりも比較的有利なことが多いため、仮想通貨の税制度を株に合わせてくれという声が多く挙がっています。
実現まで時間はかかるかもですが、実現されることを強く祈っております。
パターン3:年末時点で含み益あり、翌年以降は更なる爆益が期待できる場合
次のようなケースを想定して下さい。
想定ケース
- 2020年7月にBTCを@100万円で10枚購入
- 2020年12月時点でBTCが@290万円に暴騰し、1,900万円の含み益がある。
- 2021年12月にはBTCが@500万円に暴騰する見込みがあり、そうなった場合はそのタイミングで全て売却し、4,000万円の売却益を確定させる予定。
非常に羨ましいケースで、売却益と併せて課税額が心配になってくるケースです。
パターン2の場合、結論は次の通りです。
対策:2020年の内にいったん売って買い直す(@290万円で売ってすぐ同じ価格で買い直す)。
お勧め:税金計算に慣れていて税率を下げる自信があれば売ってすぐ買い直しを、そうでなければ何もしないのが無難でしょう。
解説のため、対策をする場合としない場合でそれぞれどのような違いがあるのかを確認してみましょう。
対策する場合
確定すること | 2021年は1,900万円に対して課税が必要となる
(2022年は見込み通り暴騰すれば2,100万円に対して課税が必要になる) |
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メリット | 収入次第になるが、2021年と2022年の税率がそれぞれ40%で済む(しない場合はほぼ確実に45%)。
(それぞれ40%で済ますことができれば、課税額を200万円少なく済む) |
デメリット | 2021年に大暴落して@100万円以下で売却した場合、2020年と2021年を通してトータルでプラスマイナスゼロまたはマイナスになるが、2021年の課税は避けられない。
⇒つまり、売却益ゼロ(最悪、大損)を課税の二重苦を味わう羽目になる。 |
対策しない場合
確定すること | 2021年の課税が不要になる
※2022年は@100万を超えれば課税の必要が出る。見込み通りに暴騰して@500万円で売却すれば4,000万円に対して課税となる。 |
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メリット | @290万円以下になった場合は、いったん売って買い直すよりも税率が減る場合がある(減るとは限らないが)し、@100万円以下になった場合は課税の必要がなくなる。
⇒つまり、ただの売却益ゼロ(または大損)で済み、課税との二重苦とはならなくなる。 |
デメリット | 見込み通り暴騰した場合、いったん売って買い直すより税率が上がる場合がある(上がるとは限らないが)。
収入次第では2021年と2022年の税率はそれぞれ40%になるため、200万円近く多く課税することになる。 |
個人的には、翌年以降も上がる見込みが強いのであれば、売却益を分割して確定させることでトータル納税額を少なくできますのでお勧めです。
ただ税金計算に自信がない場合は期待通りの結果にならない場合もあるので、下手な行動は取らないのが無難でしょう。
株を売買する投資家にとっては当たり前の活動
年内に相殺させて納税額をなくしたり減らしたりする話をさせていただいているので、
これは果たして脱税にならないのか?
と気にされる方もいるかも知れませんが、結論から言うと脱税ではないので問題はありません。
というのもこれは投資家の間で毎年行われている「クリスマスラリー」と呼ばれるもので、それこそまさに節税のために実施されている行為だからである。
つまり税計算にある程度詳しい方は自身の納税額をなるべく減らせるように実施していることなので、それをあなたもやりましょうという話なのです。
まとめ
仮想通貨の税金計算は色々と複雑です。
売却益が出れば納税の義務が発生することは致し方ありませんが、工夫次第で避けられるはずの課税をしてしまうのは非常に勿体ないことです。
本記事ではそういう事態を少しでも避けていただけるよう、次のことをまとめて書かせていただきました。
知って欲しい4つの税の知識
- 確定した売却益/売却損と、含み益/含み損の違い
- 納税の義務が発生するケース
- 確定した売却益/売却損は翌年にリセットされる
- 売却益が大きければ大きいほど税率が上がる(累進課税)
対策により避けられる(または減らせる)課税
- 確定した売却益があり、年末時点で含み損がある場合
- 確定した売却損があり、年末時点で含み益がある場合⇒相殺しないメリットがほぼない。
- 年末時点で含み益があり、翌年以降は更なる爆益が期待できる場合⇒税率が高まる場合あり
本記事を読むことで、来年以降に少しでも納税を減らすまたは避けられるようになっていただければ執筆した者としては嬉しい限りです。
今年も良いお年にしていきましょう!