自分と平均値を比較する人、自分と中央値を比較する人、どちらもナンセンスです。
食費・電気代などの家計を見直し、ある程度貯金額が貯まると周囲と比較したくなるものです。
その際に平均値や中央値を見て一喜一憂する方が多いですが、これは間違いであると私は考えます。
その理由および見るべきは自分の目標にどれほど近づいているかであることを解説いたします。
★こんな人達のお役に立ちます★
- 平均値を基準に考えている方
- 中央値を基準に考えている方
- 自分はいくら貯金すれば良いのか悩んでいる方
平均値も中央値もアテにならない
繰り返しになりますが、自分の貯金額が多いか少ないかを客観的にみるために平均値・中央値を見てしまう方が多いです。
参考程度に見る分には良いのですが、その結果を見て一喜一憂までしているのであれば一度考えを改めた方が良いです。
辛口に聞こえてしまった場合はご容赦下さい。
ただ私がそう主張する理由を簡潔に述べると次の通りです。
- 平均値⇒一部の優秀な人が引き上げる傾向が強いため、格差のある日本では高めの数値が出てしまいがちである
- 中央値⇒出現頻度の多い値に注目するといっても、そもそも日本人の半数以上のマネーリテラシーの低いことを踏まえるとそれで安心して良いとは考えられない。
平均値がアテにならない理由
平均値は一部の優秀な人が引き上げる傾向にあるため、格差の広がっている日本ではアテにならないというのはネットでもよく見かける意見です。
これはその通りで、例えば次の表(5人の同僚の家計(食費))を見てみればそれが理解できます。
メンバー | 毎月の食費 |
Aさん | 3万円 |
Bさん | 3万円 |
Cさん | 3万円 |
Dさん | 3万円 |
Eさん | 18万円 |
平均値 | 6万円 |
この表を見るとこの5人の食費の平均値は6万円ということになりますが、これを見て「じゃあ6万円に抑えれば私の家計は大丈夫そうだな」とはならないでしょう。
参考までに金融広報中央委員会が2019年に行った『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和元年調査結果』で30代単身世帯の平均貯金額は165万円となっていますが、全体の1/3は貯金していないため貯金額の多い人達がそれなりに平均値を引き上げているんだなということが分かります。
平均値がアテにならないと主張する理由
- 貯金額の多い人によって平均値が挙げられている
- 格差が進んでいるため本当に平均値の人が少ない
中央値がアテにならない理由
中央値は平均値と違い、複数のデータを小さい順に並べた時に真ん中に来る値をさしています。
平均値を出しても格差があるため本当にその平均値に相当する人がなかなか出ない一方、中央値は小さい順に並べた中での真ん中に来る値をさしますので、平均値よりは参考になるデータではあります。
では中央値に相当する貯金額を持っていればあなたは日本人全体の中央に位置することになるため比較する上では安心しがちかもしれませんが、そもそも日本人のマネーリテラシーが高くないことを踏まえると中央にいるからといって安心して良いとは言えません。
日本のマネーリテラシーが高くないことは別記事でも解説させていただきました。
例えばテニス部があり1軍・2軍・3軍に分かれている時、あなたが3軍の中の中央ポジションにいるからといって果たしてあなたは自分のテニスの腕前に自信をもって良いと言えますでしょうか。
私は中央値を参考にするぐらいならば「まだ」平均値と張り合った方が良いと考えます(だから平均値を見ましょうと言っているわけではありません)。
中央値がアテにならないと主張する理由
- そもそも日本のマネーリテラシーが世界的にも高いとは言えない
- マネーリテラシーの高くない国での中央値というのはスポーツで例えるならば3軍の真ん中レベルみたいなもの
見るべきはあなたの目標にどれほど近付いているか
平均値も中央値もアテにならないのであれば一体どの数字をアテにすればよいのでしょうか?
当たり前のことを言うようで恐縮ですが、それはあなたが立てた目標に対し現在あなたの到達度がどれほどかで測るべきではないかと考えます。
仮にあなたの貯金額が中央値に達していたからといい、あなたの求める生活が周囲よりも良いものであれば全然足らないことになります。
また仮にあなたの貯金額が中央値に達していないとしても、あなたの求める生活が周囲ほどでないものであるとすれば達していなくても良いと言えます。
まずは自分の目標を定めるために生涯費用計算を行い、自分が生涯いくらのお金を必要とするかを把握することをおススメします。
おそらくそれがないといくら自分の貯金額を平均値や中央値を比較したところで、あなたにとっての本当の安心材料にはならないでしょう。
なお生涯費用計算の概要については別の記事で書かせていただいていますので是非併せて読んでみてください。
まとめ
ある程度貯まった貯金額を周囲と比較するために平均値や中央値と比較したくなると思いますが、それは参考程度に見るに留めるようにしましょう。
本当に重要なのはあなた自信が生涯費用計算をする中で判明した必要額と現在の貯金額を比較することで、それをしない限りいくら平均値や中央値と比較しても安心を得ることは難しいです。
この記事が少しでもあなたを安心させる材料になりましたら幸いです。