制度を有効利用して得せよ!
育休(育児休暇)は取り方を工夫することで何十万も得する(給料・賞与から社会保険料が天引きされなくなる・育児休業給付が追加で支給される)ことをご存知でしょうか。
この制度の仕組みと工夫の仕方を解説いたしますので上手く活用して社会保険料を節約しましょう!
併せて本記事では実際に34万得した事例も併せて紹介いたします。
★こんな人達のお役に立ちます★
- 育児のための育休を取ろうと検討されている方(特に男性)
- お得な育休の取り方に興味のある方
- 社会保険料の節約に興味のある方
育休は月や連休を跨いで取ることで数十万円得できる
結論から言えば次の2点が数十万円得するために工夫できることです。
- 育休は月を跨いで取得することで社会保険料が免除される
- 連休(土日、GW、年末年始など)を跨いで取得することで土日祝日分の給付金も追加で受け取ることができる
小難しく聞こえるかも知れませんが、制度の内容をよく読んで把握することでお得な取り方というのが見えてくることもあります。
特に男性の場合は女性よりも育休の開始・終了のタイミングを調整しやすいので積極的に活用していくべきです。
育児休業給付について
育休の話をしているのにいきなり「育児休業給付」なんて専門用語が出てびっくりされたかも知れませんが、これが育休中に給付されるお金です。
雇用保険(社会保険)に入っていることでこの恩恵を受けることができ、取得は1日単位で取得することができます。
支給要件
支給要件は次の通りです。
- 1歳未満(パパママ育休プラス制度利用の場合は1歳2ヵ月未満、特別な事情があっても最大2歳未満)の子供を育てるための休業であること
- 育児休業開始前の2年間で被保険者期間が12月以上あること
- (有期契約労働者の場合)同一の事業主に1年以上継続して雇用され、尚且つ子供が1歳6か月になるまでの間に雇用計画がなくなることが明確でないこと
支給額
1カ月あたりの支給額は次の通りです
{育児休業開始前の賃金日額(*1) x 支給日数(30日)} x 67%(*2) *1 育児休業開始前の6か月間の合計賃金 ÷ 180日 *2 育児休業を開始してから181日目以降は50% 例)月給45万円の場合の1ヵ月あたりの支給額 {(45 x 6 ÷ 180) x 30} x 67% = 30万円
社会保険料の免除について
要件さえ満たせば毎月の給料や賞与から天引きされる社会保険料も免除となります。その要件は次の通りです。
・育児休業等を開始した日が含まれる月から、終了した日の翌日が含まれる月の前月までの期間
(ただし、子が3歳に達するまで)引用元:厚生労働省のHP/リーフレット「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します」より
実に意味不明な日本語ですが、重要なのは「開始した日が含まれる月から終了した日の翌日が含まれる月の前月」の部分です。
例えば7/01~30日(翌日が7月)のような取り方をするとこの定義上、社会保険料の免除を受けることはできないのですが、
- 6/30~7/30(翌日が7月)に取得⇒6月(7月の前月)分の社会保険料が免除
- 7/01~7/31(翌日が8月)に取得⇒7月(8月の前月)分の社会保険料が免除
- 6/30~7/31(翌日が8月)に取得⇒6月+7月(8月の前月)分の社会保険料が免除
のように取り方を1日工夫することで社会保険料の免除がされるようになっているのです。正直「何でこんなルールになってるんじゃ」と思えてしょうがないのですが、そういう制度のようです。
そして更なる特典として、社会保険料が免除されても
- 健康保険は通常通り適用される
- 老後の年金受給額に影響は出ない
という風に育休取る人が不利になるようなことにはならないのもこの制度の素晴らしいところです。
国がどれだけ推奨しているかが伝わってきますね。
育休で得するための工夫2点と34万円得した実例
冒頭の結論でも述べたように、得するための工夫は次の2点です。
- 月を跨いで取得する⇒給料・賞与から社会保険料天引きが免除される
- 連休(土日・GW・年末年始など)を跨いで取得する⇒土日祝日分も育休手当が支給される
それではこれを踏まえて実例の話をしましょう。
私の知人の話になるのですが、2019年12月の1ヵ月間で育休の取得をする際にこれらの工夫をすることで、工夫しない時と比べ34万円得したことがありました。
具体的に工夫なしと工夫ありでどう違ってきたのかを解説します。
- 工夫なし:2019年12月2日(月)~2019年12月27日(金)の期間で取得
- 工夫あり:2019年11月29日(金)~2020年1月6日(月)の期間で取得
「工夫あり」は「工夫なし」より2営業日だけ多く休んでいることに注目してください。
なお彼の毎月の給料は額面で45万円、賞与(ボーナス)は1回60万円です。
給料からの社会保険料天引きが免除される:12.6万円の差
もう一度社会保険料免除の要件を確認します。
・育児休業等を開始した日が含まれる月から、終了した日の翌日が含まれる月の前月までの期間
(ただし、子が3歳に達するまで)
引用元:厚生労働省のHP/リーフレット「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します」より
結論から言うとこの場合
- 工夫なし:社会保険料天引きが免除されない
- 工夫あり:11月と12月分の社会保険料天引きが免除される
月給45万円であれば社会保険料は約6.3万円(約14%)に相当するので、工夫することで12.6万円も社会保険料を節約できたことになります。
賞与(ボーナス)からの社会保険料天引きが免除される:8.4万円の差
給料と同じように賞与に対しても同じこととなり、結論から言うと
- 工夫なし:社会保険料天引きが免除されない
- 工夫あり:12月賞与の社会保険料天引きが免除される
ということになります。60万円の賞与に対する社会保険料は約8.4万円(約14%)に相当するので、工夫することで8.4万円も社会保険料を節約できたことになります。
GWや年末年始のような連休期間も育休手当がもらえる:13万円の差
育休手当は1日単位で給付され、2人とも1日あたり1万円給付されます。土日祝日も含まれますので次のように違ってきます。
- 工夫なし:日額1万円 x 26日 = 26万円
- 工夫あり:日額1万円 x 39日 = 39万円
2営業日しか違わないのに13万円も多く給付金を受け取ることができたのです。
(一応工夫なしの方が2営業日多く働いているので2日分賃金が多いことにはなりますが、この13万円の差を埋めるには至りません。)
2営業日休むだけで15万円弱得した事例もあり
育休は1日単位で取れる話と、月をまたぐことで社会保険料天引きが免除される話をしました。
うまく活用すれば最小限の育休で社会保険料を大きく節約することができるのです。
例えば先ほどの知人、実は2019年6月28日(金)~7月1日(月)の2営業日だけ休んで次のように社会保険料を約15万円も節約していたのです。
- 6月給料の社会保険料が免除される:6.3万円の節約
- 6月賞与の社会保険料が免除される:8.4万円の節約
仮にこの2日の休みが有給であれば普通に社会保険料が天引きされていたでしょう。
これは育休の制度をうまく活用することにより実現できることですので、数日だけだからと言って有給で休むのではなく、育休という形で休めるよう工夫してみてください。
(ただあまりにも日数が短いと人事部から理由を聞かれるので説明できるようにしてください。節約のためのだけの過度な取り方はやめておきましょう。)
私も子供が産まれた暁にはこの知人のように制度を有効活用していこうと考えています。
まとめ
育休は取り方を工夫することに数十万円得することができることをお伝えするため、制度の概要および知人の実例を紹介させていただきました。
これから育休の取得を検討している方も是非この記事なり厚生労働省のページを見て制度のことを把握し、お得な休暇を取得していってください。
<2020年12月03日追記>
2020年11月26日の日経の記事によりますと、この制度による社会保険料免除の要件は2022年度より厳しくなっていく可能性が出た模様。
こういうお得な制度は塞がれる傾向にあることも併せて認識しておくと良いです。